15. 脆弱な地域図─京阪神大都市地域:大都市地域における防災都市構造の強化に関する調査 , 京阪神大都市地域における土地利用・土地条件調査(1978〜90年)

1978年からの3年間に、株式会社リジオナル・プランニング・チームが当時の国土庁大都市圏整備局から受託した調査研究の報告の抜粋。委託研究調査の目的は以下である。
自然災害の発生は地域の自然・社会と密接に関係しており、特に自然災害の可能性を予測する場合には、地域特性の把握と分析が前提となることを前年の調査で明らかにした。今回の調査では、京阪神大都市圏地域における自然災害に派生現況と地域特性との因果関係を明らかするために以下の4つのステップを経た。
Ⅰ)過去の災害記録から今後発生する可能性の高い災害を判定する。
Ⅱ)前年度の調査に基づき近畿圏近郊整備区域を自然・社会的な特性に即して区分し、区分ごとに発生度の高い自然災害を想定、社会特性に応じて各災害が発生する可能性が高い地区を選定する。
Ⅲ)当該地域において25,000万分の1スケールによるパイロットスタディを実施する。この結果の基づく災害危険予測地図(後にハザード・マップとして一般化した)を作成する。
パイロット・スタディは地域の自然的・社会的な特性、過去の災害派生履歴による選定は以下の各地域と予測される災害の組み合わせとした。
1)寝屋川低地地域:内水氾濫・地震危険他
2)木津川左岸丘陵地域:地辷り危険・土石流危険・地震危険
3)六甲山、神戸地域:地震危険・山腹崩壊、がけ崩れ危険・土石流危険他
この調査結果が注目されたのは1977〜78年の調査から15年後の1995年に阪神淡路大震災(マグニチュード7.3)が発生し、その調査で作成されたハザード・マップの雛形となったためである。