清水川原に着いた鈴木牧之はお茶のもてなしを受けた家の作りについて、このように記載している。
この家の内から四囲の壁を見ると、横に一メートルぐらいずつ細木で隔てて、柱と結びつけ、そこへ芳簀(よしず)を立てて結い付けている。それで外から見ると、茅ばかりで柱は一本も見えない。飛び飛びに開いている窓も極端に小さく、その数も幾つもない。仏壇と思われるものは、縄でもって板を釣り下げて作ってある。古い仏画の掛軸を一幅、二幅とかけ、伊勢大神宮の御祓に恵比寿や戸隠神社のお札をはってあるのが見える。(信州大学教育学部附属長野中学校 編:現代口語訳 信濃古典読み物叢書8 秋山記行. 信教出版部. 2019より)