2000年に始まった越後妻有大地の芸術祭のために実施した妻有地域(旧十日町市)の自然・社会的なデータ収集する目的で実施した調査報告である。調査の目的は中山間地域の振興とともに、農林地の改廃、水資源の確保、地域防災、環境保全等を土地資源の適性利用の観点から課題として方向性を明らかにすることである。地方行政において、それぞれが固有に所有している地域固有の資源(財産)を目録として体系的に整備し、長期的な視点から地域資源としての土地利用を総合的、計画的に図ってゆくことを目的とするものである。本調査では越後妻有郷の自然的社会的な条件について、地図上に分かりやすい形式で明らかにし、越後妻有野資産台帳として整備した地域住民の理解に資するものとする。妻有地域のエコロジカルな資産台帳の整備でもある。
この調査からアート作品としての “川はどこへいった” が制作され、地域にとって重要な資産である信濃川の自然的・社会的エコロジカルな資源としての価値が一般にも認識され“大地の芸術祭”の基本的な理念、拠りどころになった意義は大きい。